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 花火にいかないかと誘ったのは三日ほど前。いってらっしゃいと隣の幼なじみに言われて、彼は了承を示した。それじゃあ迎えにくるから、と約束を取り付け、ユーリは彼らと別れた。
 金髪の少女が笑顔で手を振ってくるのとは対照的に、青年は無言で佇むだけだった。彼がそういう性格だということは知っているから、特に不満を感じることもないが。ただ曲がりなりにも恋人に対してもそれでは、という不平は残る。
「同じか」
 苦笑したところをお姫様に見られたけれど、気づかないフリをした。

 

「ヴェイグ、行こうぜ」
「ああ」
 剣は邪魔なので置いていく。お互いに身軽な格好で、けれど浴衣を着ることもなく。色気のねぇデートだな、と内心思ったけれど、口に出してもしょうがないので止めておいた。
 人の多い出店の方は避けて、さっさと河原へ向かう。ユーリ自身出店に興味はないし、ヴェイグもおそらくそうだろう。
「ユーリ、」
「ん?どうした?」
 無言で歩いていたヴェイグに呼ばれて、ユーリは隣を見上げる。微妙に身長が追いついていないのはこの際仕方がない、と思う。すでに成長は止まっているのだから。気にしていないと言えば嘘になるが、今更そんなことで騒ぐような年でもない。
 河原で腰を下ろし、ほとんど同じになった目線で、ヴェイグは尋ねる。
「俺と一緒でよかったのか?」
 他の人間を誘った方が楽しいのではないかと、そう思った。気の利いたことを言えるわけでもなければ、話題が提供できるわけでもない。無表情、と言われているのも知っているし、自覚もしている。そんな自分を誘うよりも、別の誰かと一緒に行った方がよかったのではないかと。
 答えを待つヴェイグにユーリは二、三度目を瞬かせてから、これ見よがしに溜息をついた。
「なんでそう遠慮がちなんだろうな」
 きょとんと、ヴェイグの目が丸くなる。それから眉が寄って。なにが言いたいのかわからないという顔。ユーリがよしよしと頭を撫でると、比例するように眉間のしわが深くなった。ユーリ、と答えを求める声が聞こえる。
「いいよ。とりあえず花火見ようぜ」
 そのために来たんだから。ヴェイグは納得のいかない表情で、けれど小さく頷いた。
 しばしの後、大きな音とともに最初の花が開いた。周囲から歓声が上がる。次々に打ち上げられていく花火を、ヴェイグは声も出さずに見上げていた。こんなに大きくて数も多い花火は初めてで、
「どうだ?」
「ああ、・・・すごいな」
 知らず緩む表情にユーリは小さく笑う。その声に反応して隣を見て初めて、彼がずっとこちらを見ていたことに気づいた。ここらで一番派手らしいぜ、と言われて無難に返しながら、外れない視線に困惑する。
 見ないのか、と小さく問うと、
「オレとしちゃあお前の顔見てる方が楽しいからな」
 白銀は上がる花火によって様々な色に染まり、珍しいものを見る薄青の瞳は興味深げに瞬いている。花火よりよっぽど見ていて飽きない、と。
 言ったユーリは本当に楽しそうで、反論する言葉が見つからなかった。ふい、と視線をそらし、また花火に戻る。けれど一度意識した存在はなかったことにはできなくて。本当に自分を見つめているらしい隣の男になにも言えず、とりあえず気づかないフリをした。
「これが答えだよ」
 隣から唐突に声がする。振り向けばボロが出そうだったから、振り向くのはやめておいた。なんのだ、と言葉だけ返して、それから先ほどの自分の問いのことだと気づく。もういいと言ったからこの話はもう終わったのだと思っていた。
「見ていたいから、だな」
 少しでも長い間。少しでも多く。元騎士という彼は、時折どうも恥じらいというものを捨てるらしい。緩く編んでいる後ろ髪を弱い力で引かれ、視界の端に唇を寄せる姿が映った。人の多さでもなく花火が近いからでもなく、体温が上がるのがわかった。
「そう、か・・・」
 かろうじてそれだけ返して、ヴェイグは花火が終わってしまうのを待った。

 早く、早く。
 きっと赤くなっている顔が見られる前に。
 さっさと暗闇に戻ってしまえ。

花火よりも、

(君がいい)

  

  

誰この子たちw
やっぱりわたしはTOVをやるべきだと思いました。
早くPS2にリメイクしてくださいまたはPS3ごと貸してくれてもいいww←
3はいつか買うと思うんだけど買えるほどのお金が常にないw
パラレルと見せかけてたぶんマイソロだと思います。花火くらいあるよねあの世界
ユーリさんが何者状態です。ヴェイグは音声にすると無口な感じだけど字に起こしてる時点ではけっこう文字数とか多いんだよね
ということをセルシウスのイベントで改めて認識したので動かしやすくなったかもしれないです
でも性格的には崩壊しているという残念なオチ←
ユーリさんはもっとツンの部分があってこういうことは言わないような気もするんですが、でも相手に指摘されなければ照れたりしないイメージなんだよね
ほんとはシリアスを考えてたけど夏真っ盛り花火見に来てシリアスもどうよと思って意識したらカオスになったw
所詮は俺得ですw

追記:前に同じ←
   どうやら書いた一ヶ月後にPS3を買ったようです
100808