花氷*


 大晦日はこたつでみかん、だよ。

「・・・は?」
 ウィンドル王国ラント領主邸。
 突然の言葉に、ヴェイグは小さく首を傾げた。言ったソフィはにこ、と笑みを浮かべたまま、ヴェイグがなにかを返すのを待っている。
 大晦日はわかる。今日のことだ。みかんもわかる。橙色の果物。それでは、こたつとは?
 ヴェイグはソフィを見下ろしながら考え込んだ。青とピンクが、じいっと見つめあいながら沈黙を紡いでいる。
 いい加減耐えられなくなったのは、執務机についているアスベルだった。
「ヴェイグ、わからないことは素直に聞いてくれ。ソフィも、一般に知られてないことはちゃんと説明しような」
 アスベルの声にヴェイグとソフィは執務机に視線を向ける。なんとなく似通っている二人に、アスベルは思わず苦笑した。
 先に動いたのはソフィ。
「こたつっていうのは、アンマルチアの里にある家具なんだよ。中に入るとぬくぬくなの」
 パスカルに教えてもらったの。
 胸の辺りで手を組んで、ソフィは言った。
 ヴェイグはそうか、と小さく頷く。けれどその瞳はなんとなく不思議そうなままで。
 アスベルは笑って立ち上がり、ソフィの頭を撫でた。
「先に部屋に戻っていてくれ」
 オレたちもすぐに行くから、と続けると、ソフィはツインテールを揺らして部屋を出ていく。それを見送ってからアスベルはヴェイグに向き直り。
「こたつ・・・わかんなかったよな?」
「・・・ああ」
 ソフィの説明はなんとなくパスカルを踏襲しているせいか、少しの理解力とかなりの慣れが必要なのだ。
 ヴェイグが素直に認めたのに再び苦笑する。それから簡単にこたつの説明をすると、ヴェイグの瞳が瞬いた。正直、想像がつかない。
 とりあえず四角くて、テーブルに布がかかっていて、中に入ると暖かいもの、らしい。
「よし!」
 突然アスベルが声を上げる。訥々と考えていたおかげで内心とても驚いたヴェイグが視線をやると、がさがさと書類を片づけているアスベルが目に入った。今日の分の仕事は、まだ残っていたはずなのだが。
 アスベル、と小さく呼びかける。
「今日は大晦日だから」
 言いながらも止まらない手はあっという間に書類を脇にまとめ、机の上をきれいにして。アスベルはヴェイグに笑みを向けた。それは子供がいたずらをするときのような、そんな色を含んでいる。
 こういう顔をしたときのアスベルにはなにを無駄であることは、すでに経験済みだった。
「ほら、行こう」
 ソフィも待ってるから。
 な、と差し出された手に少し迷う。けれど大晦日だから、という無理矢理な理由に後押しされて、ヴェイグは自分よりも白い手に手を重ねた。
 客間について、思わず声を上げるのはもう少し先のこと。

大晦日といえば、

(・・・これが、こたつ?)
(おつかれー、二人とも!さあ、こたつでぬくぬくしようよ!)
(ぬくぬく・・・)
(・・・パスカル、いつ来たんだ・・・?)

  

  

年越し書こうとしてたら年越し以前の問題になった
そしてなぜかグレイセス。アスベルの口調がふつうすぎて難しいw
ヴェイグさんはED後ナチュラルにラントにきているようです←
アスヴェイにしたかったんだけどそこまでいかなかった
アンマルチアは日本だと思ってるw
こたつだってアンマルチアの知識があればできる!はず!w←
101231