花氷*


 部活が休みになった帰り道。
 一人で歩くヴェイグを見つけた。
 本人はこれといってしゃべるタイプではないのに(むしろ無口だ)いつも誰かしらくっついているのに、珍しい。
 思いながら同じ距離を開けて歩く。はずが、思いの外早く距離が縮まってしまった。
 なんとなく横を通り過ぎるのははばかられて、声をかける。
「一人なんて珍しいな」
 振り向いたヴェイグはぱちぱちと瞬きして、オレの名を呼んだ。普段あまり話しかけることもないから(いつも誰か居るから機会がないんだ)不思議に思ったのだろうか。
 どうしたんだ?
 続けて問うと、ヴェイグが首を傾げる。声はないが、なにがだ、と尋ねているのだろう。質問に質問で返すのは感心せんな、というある先生の口癖をなんとなく思い出して、小さく笑った。
 それにまた、ヴェイグが不思議そうな顔をする。
「いつもは誰か一緒だろ?」
 ティトレイとか、アスベルとか・・・。
 何人か思い当たるクラスメイトを挙げてみる。ああ、と合点のいった声を漏らし、ヴェイグは端的な答えを返した。
 曰く、部活だ、と。
 なるほど、そういえばみんな何らかの部活に入っていた気がする。にしてはいつもヴェイグと連れ立って校門を出て行くのを見ていたような。
 そこまで考えて、思考を放棄した。
 いつも都合よく部活が休みになるはずはない。つまりそれは、順番に休んでいたということだ。そんなことは考えたくない。
「・・・お前は?」
「ん?」
 今日は部活はないのか?
 続いた問いに思わず動きを止める。自分が部活に入っていることを知っていたことより、首を傾げたヴェイグの無防備さに驚いた。普段からは想像できない。
 数歩進んだヴェイグが、オレが動かないことに気づいて立ち止まった。どうした、と短く問われて、我に返る。
「いや、なんでもない。オレは今日は休みなんだ」
「そうか」
 数歩分の距離を慌てて埋めて、ヴェイグの隣に並ぶ。
 その慌てように気づいたのかどうか。ヴェイグは先ほどと同じように目を瞬かせた。同じ行為のはずが、
「・・・アイツらの気持ちがわかった気がする」
 かわいく見えた、なんて本人に言えるはずがない。
 ごまかすように肩を叩いて、
「途中まで一緒に帰ろう」
「・・・あぁ」
 やっぱり不思議そうな顔をしているヴェイグが(話題転換が唐突すぎたな)、けれど小さく頷いた。

気づいてしまった

(・・・セネル、お前の家はどこなんだ?)
(あぁ、こっちだな。ヴェイグは?)
(・・・同じだ)
(なんだ、案外ご近所だな)

  

  

ぐだぐだしたことは否定しない←
そもそも彼はセネルさんなんだろうかwww
セネルと思って書いてたんだけど結局ヴェイグが一度も名前呼ばなかった(笑)
お互い知人レベルだったんだけど話してみたらきゅんきゅんしてしまったセネルさんの話です(身も蓋もない)
アスベルとかティトレイとかはヴェイグ親衛隊(笑)的ななにか
セネルさんとヴェイグを絡めたくて書いたはいいけどなんかよくわからない話になりました←
ヴェイグの天然度が段々上がる今日この頃(笑)
110615