花氷*


 ガキィン、という派手な音がして、剣が宙を舞う。硬い音とともに石畳に跳ねた。
 それを見ることもなく、二人は睨み合う。
 鋭い視線が交わって、唐突に片方が緩んだ。
「・・・まいったよ」
 呟いた声は悔しい色を隠そうともしない。
 そんな挑戦者からようやく視線を外して、ヴェイグは剣を下ろした。肩で息をする。今回はなんとか勝ったけれど、次回はわからないな、なんて考えは顔には出さずに、小さく溜息をついた。
「・・・いい加減に、諦めたらどうだ?」
「まさか。勝つまで諦めないさ。なんとしてもラントに来てもらうからな」
 正直、アスベルの執念は予想外だった。
 オレが勝ったら一緒にラントに来てくれないか、なんて、冗談にも似た提案だと思ったのだ。
 その頃のアスベルたちは四人がかりでヴェイグから勝ちをとったような状態で。そんなときにオレが勝ったらなどと、普通なら言えない。だから冗談だと思ったし、好きにしろと返した。
 けれどその言葉を実行に移そうとするアスベルは何度もヴェイグに挑戦し、敗れても諦めることを知らない。
「今回はいい感じだったと思うんだけどなぁ・・・」
 ぶつぶつ呟いているアスベルを見やる。
 驚いたのは、成長の早さだった。最初に相見えてからそう時間は経っていないのに、実力が桁違い。剣を交える度に、強くなっているのを感じる。
 だからこそ、負けるわけにはいかなかった。
「・・・どうしてオレを連れて行きたいんだ」
「え?」
 跳ね飛ばされた剣を腰に収めるアスベルに問いかける。
 問というよりは、独り言だったのだが。
 ヴェイグはこの世界のことを知るわけではない。政治なんてもってのほかだ。自慢することでもないが、たとえば学校に通ったこともないし、専門的な知識を持つわけでもない。あえて挙げるなら剣の腕だろうが、アスベルの実力ならボディガードも必要ないだろう。それなのに、どうしてここまでアスベルは自分に拘るのか。
 ヴェイグにはそれがわからなかった。
「オレは、おまえの力にはなれない」
「そんなことないさ」
 最終的な結論だけを言ったヴェイグに、アスベルはあっさり返す。ヴェイグが怪訝そうに眉を寄せた。
 ラントの領主であるおまえを助けるためには、政治的な知識が必要なんじゃないのか。
 そう尋ねたヴェイグを、アスベルは驚いたように見つめた。
 それからその顔が、うれしそうに笑う。
「いてくれるだけでいいんだ。それだけで」
 それじゃあ、また来るから。
 そう続けたアスベルを、ヴェイグは不思議そうに見送った。

一緒にいたい理由

(好きだから)

  

  

ただし告白してないのでヴェイグには伝わってないかと(笑)
Gの醍醐味はヴェイグをいかにラントにつれて帰るかを妄想することだと思いますwww
場合によってはウィンドルでもいいよ!
でもヴェイグを倒してもリアラとコハクがいるのでしばらくは無理そう(笑)
いっそその間に番人の仲間集まればいい(収拾つかない)
Gは最強の敵ユーリさんがいないので素直にCPになる気がしますwww
110616