花氷*


 引き連れられた青年を、囲む兵士が一斉に見やる。連れてまいりました、という報告に、一つ頷いて労った。
 簡易的に造られた陣の中央、将軍用の数段高いところに座る男。長い髪を結い上げて、黒と赤の鎧を身に纏うもの。
 彼――ユーリ・ローウェルはにやりと笑って立ち上がった。カツ、カツ、と急ごしらえの段を下りて、青年に近づく。途中で兵士に止められたが、下がらせた。
 俯いたままの青年を正面から見下ろす。
「そう緊張しなくてもいいぜ」
 跪いた体勢のままぴくりとも動かない青年に、腕をつかむ兵士が怒りを見せた。
 将軍様直々のお言葉に応えぬつもりか。言って、三つ編みにされている髪を引く。ぐい、という遠慮のない強引な力に、青年の顔が上がった。ぷつぷつと細い髪が千切れる音がする。
 無理矢理上げられた顔が、その瞳が、ユーリを射抜いた。
「いいさ、放してやんな」
 瞬間目を見開いたユーリは、兵士を宥めて手を放させる。
 上がった顔が、再び下がることはなかった。薄い氷のような瞳が、半ば睨むようにユーリを見つめる。
 ユーリは楽しそうに口角を上げると片手を振った。周囲の兵士がざわめく。それは、下がれという合図。溜息をついた副官が、兵士たちを追い立てて姿を消した。
 暫しの沈黙。
「・・・さて、と。なにが言いたいかわかってるよな?」
 くい、と顎を上げて、薄氷を見つめる。
 目の前の青年は、相手の軍の者だった。向こうでどの程度の地位があるのかは知らないが、彼がこの件を一任されたのは間違いない。あるいは、この存在自体が罠か。
 彼が降伏を告げれば、戦は勝利。降伏を拒んだ彼の命を奪えば、戦が続くか、または次の者が送られてくるか。それから彼が・・・こちらを、殺すか。
 それならそれで面白いけどな。
 さあ、どうする?冬の風に晒されて冷たくなった頬に触れる。ひたり。同じくらい冷えた手がユーリの手に添えられた。
 音を発することなく、無表情を貫き通していた青年が、笑う。その笑みは小さく、挑むような色を含んで。
 目を奪われたユーリに向かって、言った。

降らねば、如何いたします?

  

  

パラレルであることは間違いないw
ユーリさんは心の中の聖騎士様のイメージ
ヴェイグは着物・・・的・・・な・・・、ちがうな←
とりあえずユーリ側が攻めてきて、ヴェイグ側が抵抗してる感じで。
上司はミルハウストだといいなぁと思っています。すごく信頼されてるよ!(笑)
ほんとはもうちょっと先で終わりたかったんだけどオチましたwww←
続きを書く、かもしれない!(微妙)
101027