花氷*


 一緒にいたい、そう思う。けれど、それは不可能かもしれないとも思う。
 一緒にいられないのなら、いっそのこと出会わなければいいと。
「そう思っていたこともあったよ」
「・・・今は違うのか?」
 ラント領主邸。
 その整えられた庭で、政務の休憩中にアスベルがそんなことを口にした。
 先ほどまでは今日も天気がいいとか花が綺麗だとか(ソフィが毎日熱心に世話をしているのだから当たり前だ)、そんな他愛もない話をしていたのに、随分唐突な話題転換である。
 旅の仲間の性格が移ったのだろうか、わりとそういうことが多くなったアスベルに、ヴェイグももう驚くことなく会話に応えることができるようになっていた。
「一緒にいたい人は今目の前にいるし、出ていくって言われても離す気はないからさ」
「・・・アスベル」
「冗談だよ」
 なんとも自分勝手な言葉に(とはいえヴェイグも出ていこうという気持ちはないのだが)非難するように名を呼ぶヴェイグに、アスベルは肩を竦めて笑った。
 そんなことを直球で言えるようになったんだから成長したよなぁ、なんて内心思いながら、それは目の前の彼が鈍いからかもしれないとも考えた。アスベルに鈍いといわれるとは相当である。
 アスベルは空を見上げる。秋めいてきた空は高く、雲一つない。
 つられるように見上げたヴェイグに視線を戻して。
 ただ、思ったんだ。別れがあるから出会いがある、なんていう人もいるけど、出会いと別れは直接的には関係していないだろ?
 いずれ死という形で必ず別れは訪れるけれど、そういうことではないのだ。
 出会った人とは別れなければいけない、そんな決まりはどこにもないから。
「だから、ヴェイグ」
 急に真剣味を帯びた声に、ヴェイグはアスベルを見やる。
 声と同じく、もしくはそれ以上に真面目な顔をしたアスベルがヴェイグの手を取った。
「ずっと、オレと一緒にいてくれないか」
「・・・アスベル、」
 小さく名を呼んだヴェイグが、柔らかい微笑みを見せた。

分袂避けていつ出会う

(・・・そろそろ休憩時間が終わるぞ)
(え、そこは返事してくれるところ・・・)

  

  

なんとなくオチたっぽい←
いつのまにか告白通り越してプロポーズしてましたアスベルさんマジ侮れないw
告白はライオットピークで終わらせているつもりです
ていうかほんとにプロポーズさせるつもりはさらさらなかったんだよ!
今のところユリヴェイ前提じゃないCPはアスベルと大佐のみという驚異の確率です(笑)
でもアスベルさんなのでオチを残念にしてみた←
111016