花氷*


 夜も更けたある日。冷えた夜風が頬に当たるのが心地いい。終電なんてとっくになくなったけれど、明日は休日だから問題はない。
 そうでなければ、ここには来ないのだが。
 人影のない夜道を歩いて、ジェイドは目的の場所へ向かう。
 チャイムを鳴らすと、しばらくしてようやく中で人が動く気配がした。再び鳴らすと、ゆっくりドアが開く。
 相手がこちらを認識する前に、ジェイドは口を開いた。
「こんばんは、ヴェイグ」
「・・・・・・ジェイド?」
 恐らく既に眠っていたのであろうところを起こされたヴェイグが、眠そうな瞳を瞬く。いつもより長い沈黙を挟んでようやく、ヴェイグはジェイドの名を呼んだ。
 入れてもらえます?と笑顔を浮かべると、緩慢な動作で中に迎えられる。
「こんな時間に、どうした・・・?」
 眠そうにしているヴェイグとは対称的に、ジェイドの機嫌はすこぶる良い。
 どうしてこんなに機嫌がいいのかわからなくて、ヴェイグは尋ねる。
 その問いに答えることはせずに、ジェイドはヴェイグの腕を引いた。いつもより体温の高い身体を抱きしめて、満足げに笑う。
 その拍子にアルコールが香って、ヴェイグは眉を寄せた。
「飲んでるのか?」
「ええ、少し」
 少し、だなんて嘘だ。ワインの一杯や二杯、いや、ボトルの一本や二本飲んだくらいではこの男はどうともならない。それくらいアルコールに耐性があるのだ。
 そのジェイドが、酔っている。
 なにかあったのだろうかと不安になりつつも、寝起きの頭では考えがまとまらない。
 結局ヴェイグは考えるのを放棄して、ジェイドの背に腕を回した。
「・・・なんだ」
「なんでもありませんよ。ただいい気分なだけです」
 歌いたい気分ですよ、なんてくすくす笑うジェイドに、ヴェイグはやめてくれ、と小さく返した。
 夜中に起こされて、抱きしめられて、歌い出したいと言われてもわけがわからない。
 やめてくれと言ったのが聞き届けられたのか、ジェイドはヴェイグを抱いたまま動かない。そんな状態で居たら眠気も戻ってくるもので。
 ジェイドがいるからとは思うのだが、睡魔には勝てそうにない。
「・・・ジェイド、」
「いいですよ」
 とんとん、と優しく背を叩かれて、ヴェイグは耐えきれずに瞼を閉じる。おやすみなさい、というジェイドの声が聞こえた。

口遊む酔い心地

(・・・さ、どうしてあげましょうかね)

  

  

なーんてね、ってなるはず←
謎設定な現パロ。の挙げ句大佐がただの迷惑行為・・・w
明日はお休みなのでとりあえず会いに来た、的な
楽しく飲んできたみたいなのでたぶんガイさんあたりをいじめたんだと思います(笑)
よく考えたら大佐が歌うたうとかシュールすぎて無茶だったなぁとw
131004