花氷*


 ちょっとした不注意だった。
 いや、そもそも自分は男で、身長もそれなりにある。それなのにまさかこんな風に囲まれることになるとは全く思っていなかったのだ。
「なぁ、聞いてる?」
「俺たちと遊ぼうって言ってんの」
 ひねりのない言葉をかけてくる所謂チンピラを睨みながら、ヴェイグは考えていた。
 通りを歩いていたら突然遊ばない?なんて声をかけられ、肯定も否定もする暇を与えられずに気づいたら囲まれて、近くの裏路地に引っ張り込まれた。説明するならそんな感じだろうか。
 しかもカツアゲではなくナンパの類らしい。不名誉にも程がある。
 ヴェイグは心の内で溜息をつく。力で対抗する方法もあるにはある。しかし一人や二人ならともかく、壁に追い詰められて周囲を固められてはさすがに多勢に無勢だ。
 だからといってこうしているわけにもいかないし、
「止めとけよ」
 自分でもなぜこんなに冷静なのかわからないまま考えを巡らせていたヴェイグと、そろそろ痺れを切らそうというチンピラたちに声が掛かる。
 声の方を見やると、路地の入り口に誰かが立っていた。黒ずくめの男だ。
 彼はそのままヴェイグたちへと近づいて、再び声を掛ける。
 一人に寄ってたかって、恥ずかしくねぇの?
 そう尋ねてから、さらににやりと口角を上げて。
「知ってるか?そういうの雑魚って言うんだぜ?」
「テメエ・・・ッ!」
 ヴェイグに向いていたチンピラが全て彼に向かって走り出す。囲まれる形になった男は、けれど全く堪える様子はなく。
 へぇ、やる気かよ、なんて好戦的に笑って見せた。

 一斉に殴りかかってきたチンピラが全員地面に伸びるのはもうすぐ先のこと。

群れて色成す妖のよう

ヴェイグ、次からは一人で出歩くなよ)
(だが、)
(よ?)
(・・・ああ)

  

  

たぶん現パロ
いや原作設定だったらチンピラでも向かってくるなら返り討ちかなってw
ツイブレとかでもたしか来たよね?だから現パロということで
最初は知り合いじゃない設定だったんですが、あんまり出会い編ばっかり書いてもなと思って←
結果知り合いなんだけどユーリさんの正体がわからないという若干不思議な作りに
タイトルと中身の格式が激しく異なっているのには目を瞑っていただきたくwww
130128