花氷*


「ほら、エステル、前見ろよ」
「すいません。ありがとうございます、ユーリ」
 ユーリを見上げて、エステルがふわりと笑った。おう、と短い返事をして、ユーリは再び歩き出す。
 なんてことのない光景。
 躓いたエステルを近くにいたユーリが支えた。それだけ。
 エステルが怪我をしなくてよかった。そう思うのに、
「ヴェイグ?どうしたの?」
「・・・なんでもない」
 カロルにそう返して、ヴェイグも歩き出した。
 いつの間にか立ち止まっていたらしい。前方を進む面々を見つめて、小さく溜息をつく。
 優しくて、ふわふわしている少女。丁寧で、物腰穏やかで素直な人。その中のどれも、自分にはない。
 そもそもこんなことを考える方がどうかしているのかもしれない。男と女では、比べる方が間違っている。相手のことを思えば、こんな気持ちは捨てたほうがいい。
 ユーリはきっと、エステルと、
「ヴェイグ」
 一緒にいた方が、幸せに
「ヴェイグ!」
「っ!・・・ユー、リ?」
 肩を揺すられて我に返る。前にいたはずのユーリの顔が至近距離にあった。
 ゆっくりと瞬きをすると、周囲の景色が濃くなった気がした。
 ユーリが目に見えて安堵の表情を浮かべる。それに鼓動が跳ねて、消したい気持ちが蘇る。
「大丈夫か?」
 頷いて、視線を外した。
 これ以上見ていては、ダメだ。
 足を止めている二人に駆け寄るエステルの心配そうな顔に、後ろめたい気持ちが隠せなかった。

苗を踏み、されど求める、愚かな心

(そんな資格、オレにはないのに)

  

  

ユリエスであるべきと思っているのに諦められないヴェイグ
みたいなイメージだったんだけどこれだと諦めてる感がすごいですね←
一応inTOVのどこか・・・だといいなぁ(え)
この時点でユーリさんはふつうにヴェイグが好きでいいと思っています
だってユーリさんは一目惚れだもの!(笑)
110426