花氷*


 にこり。
 笑みかけられて、ヴェイグは心なしか身を引いた。ジュディスはそのまま一歩距離を詰める。
「どうして逃げるの?」
「いや・・・」
 なんとも答えられずにヴェイグは言葉を濁す。
 なんとなく嫌な予感がする。理由としてはそれだけだった。
 バンエルティア号の甲板で。ディセンダーに連れられてセルシウスが出ているため貸し切り状態で、ヴェイグは風を感じていた。珍しく静かな空気を満喫していたところに突然現れたのがジュディス。
 ユーリたちと出かけていたはず、なのだが。
「ねぇ、ヴェイグ」
 先に戻ってきたの、なんて言っていたジュディスがふと伸ばしてきた手。
 かろうじて避けたと思ったら、いつの間にか距離がぐっと縮まっていた。船の縁に背中がぶつかる。
 頬に手がそえられて、動かすにも動かせず。
 逆行で見えなかった表情が見えるほどに顔が近づいたと思ったら。
「よぉ、楽しそうだな?」
 横から伸びてきた腕がヴェイグの身体をさらった。
 笑みを浮かべたユーリがヴェイグを捕らえた状態でジュディスを見やる。しばらく見つめ合ってから、ジュディスは肩を竦めた。
 あら残念。そんな声が聞こえてきそうである。
「・・・ユーリ?」
「ただいま、ヴェイグ」
 名を呼んだヴェイグに甘く囁く。
 けれどその笑みはなんだか凶悪で。そう思えば腰に回る腕にも力が入っている、ような。
「フレン、後は任せた」
 言い終わるかどうかというところで、ユーリは踵を返す。
 抵抗できずに連れられる中でヴェイグが振り返ると、一緒に戻ってきたらしいフレンが苦笑しているのが見えた。視線をずらすと、ジュディスが笑顔で手を振っている。
 その笑顔が妙に楽しそうで、ヴェイグは予感の的中を悟ったのだった。

にべもなく笑った妓

(嫌な予感は当たるもの!)

  

  

で、まぁこれからユーリさんに云々
結局ジュディ姐はおちょくりたかった、みたいな?(笑)先に帰ってきたらかわいい子がいたので
妓って花街的なイメージなんだけど、とりあえず単純に女の人として書きました
妓=女=ジュディス。残念ながら特になにも考えてない←
ユーリは顔より態度に感情が現れると思います
いい笑顔で強引にいくと思うよ!(笑)
110524