花氷*


 私に忠誠を誓うのなら、望むものはなんでも差し上げるわ?
 お金も、地位も、女も、すべて。
 そう言って得意げな流し目を送る女性に、首を垂れていたユーリは顔を上げた。
「さあ、なんでもおっしゃってちょうだい?」
「それでは、」
 望むものを口にしようとしたユーリに、彼女は扇の下で嫣然と微笑む。
 これで望みを叶えれば、この青年は永遠に自分のものだ。
 金も、名誉も、全ては自分が与えるもの。一度望めば、もう戻れない。けれど彼女は、続く"報酬"に言葉を失った。
「貴女の傍で控えている、その召使いを」
 斜め後ろで同じ様に立て膝をついている召使いへと視線を投げる。その召使いは目を大きく見開いてユーリを見つめ返した。
 先程まで嫣然と笑んでいた女性がようやく言葉を取り戻し、パチンと扇を鳴らす。
 どういう・・・
「なんでも、と。貴女はそう言ったはずだ」
 だったら、オレは望むものをもらう。
 そう言い切ったユーリが立ち上がって手を差し出す。その手に導かれるようにして召使いは立ち上がり、一歩二歩と歩を進めた。
 けれど後ろで再びパチンと音がして、足が止まる。ユーリがちらりと視線をやると、予想外の事態にどうすればいいのかわからないのであろう女性と目が合った。
 ぴくりと眉を上げた女性に対して不敵に笑みを浮かべる。
 それから視線を戻し、困惑している召使いの腕を引いた。
「ヴェイグ」
 腕の中の召使いが驚いたようにユーリを見つめる。それには柔らかく微笑んで、ようやくだ、と呟いた。
「待たせたな」
「・・・ユー、リ・・・っ」
 じわりと浮かぶ涙を拭ってやって、ユーリは再び女性を見やる。
 まるでついていけないといった風の彼女に声をかけて、ユーリは彼を連れて出ていった。

栄位を得られた奥方

(そんな貴女にも、得られないものがある)

  

  

よくわからない設定のパロ
ユーリとヴェイグが幼馴染で、ある時ちょっとした理由で生き別れたみたいな感じになって、ユーリは下町暮らしでヴェイグは人身売買・・・なんかごめん←
んで、ヴェイグはあるお金持ちというか領主的なおうちに召使として働いていて。それをひょんなことから知ったユーリさんが一兵卒からのしあがり騎士になって手柄を立てまくるのです
で、何回か会う機会があってお互い存在を知ってる(というかヴェイグがユーリさんのことを知る)んだけどヴェイグは召使になった時に名前を捨ててたから呼ばれた名前は別人だしユーリさんも何の反応もしないからもう他人みたいな感覚になって悲しくなったりして
そんな中でいろいろあって最終的にここで落ち着くという一大スペクタクルです。設定だけは←
ちなみに女性は一市民から美貌で領主の妻になった人でものすごく成功者みたいな
この美貌とお金があれば何でもできると思っているかわいそうな人です
ヴェイグも美人だから召使になってて、ユーリさんもイケメンだから騎士として自分のそばに置いておきたかったという
そんな妄想の塊。もはや本文よりこっちのが長いwww
121021