花氷*


「おにはーそとー!」
「ふくはーうちー!」
 外に響く子供たちの声に、アスベルは顔を上げた。
 そういえばもうそんな時期なのか、なんて思う。
 慣れない執務は相変わらず溜まる一方で、忙しい日々が続いている。おかげで行事なんてものは頭の中から抜けてしまっているのだった。
 新年はシェリアも戻ってきたから無事に過ごせたのだが。
 しかし、豆まきは外でやるものだっただろうか。家の中で行うものだった気がするのだが・・・と。
「おにはーそとー!!」
「ええ!?」
 バン!と執務室のドアが開き、子供たちが飛び込んできた。
 目を白黒させるアスベルを後目にばらばらと豆を投げていく。
 鬼と言いながらお互いに投げあっている子供もいるから、実際には意味はわかっていないのかもしれない。
 そんなことを考えながら呆然と執務室の床が豆だらけになっていくのを見ているアスベルの耳に、やや焦ったような青年の声が聞こえたのはそれからすぐのことだった。
「そっちはダメだと言っただろう・・・!」
「えー」
 青年は足早に近づくと、不満げな子供たちの前にしゃがみ込む。
 困った顔で仕事の邪魔はしない約束だっただろう?と首を傾ぐと、子供たちがおずおずと頷いた。
「向こうにいるソフィの手伝いをしてやってくれ」
「はーい!」
 小さく笑みを浮かべて開け放たれたドアの先を指さすと、子供たちは元気に手を挙げて再び駆けていった。
 ふう、なんて小さく溜息をついた彼に、アスベルはようやく声をかける。
「ヴェイグ」
「!」
 ぴく、と肩が揺れて、振り返る。
 バツの悪そうな顔をしたヴェイグが、すまない、とぽつりとこぼした。
 話を聞けば、子供たちは節分の豆まきをするのにソフィが連れてきたのだそうだ。豆まきは子供がする行事ではないが、なんとなく豆をまくのは子供の役目だ。それをソフィだけでこなすのはたしかに骨が折れる。
 お任せしましょう、なんてフレデリックが人のいい笑みで了承すると、自分の家だけでは物足りなかったらしい子供たちが大喜び。
 仕方がないからアスベルの邪魔はしないように、執務室にだけは入らないこと、という約束を取り付けて、ヴェイグはそのお目付けについていたらしいのだが。気づけばやんちゃな少年たちがはぐれていたとか。
 アスベルは申し訳なさそうにしているヴェイグにくすりと笑って。
「ありがとう」
 俺のことを考えてそうしてくれたんだろ?
 言うと、ヴェイグがこくりと頷いた。アスベルがうん、とその頭を撫でる。
 珍しくおとなしく頭を撫でられるヴェイグに、アスベルは浮かべた笑みを深くした。

豆をまく場所について

(・・・てことは、ヴェイグは俺に福が来なければいいと思ってたのか?)
(!?)
(執務室は豆まき禁止だったんだろ?)
(そういう意味で言ったわけでは・・・っ)
(なんて)
(、?)
(冗談だよ)
(・・・アスベル)

  

  

そしてまた機嫌を損ねるとw
アスベルさんの性格が若干よくわからなくなってきている今日この頃です。これフレン?←
豆まきの話を書こうとしたら子供が豆まきするだけの話になってうん?ってなりました
無理矢理アスヴェイっぽい感じに仕立てた結果がこれだよ!w
そもそも遅れてますが目をつぶっていただけると・・・←
130204