海の者と陸の者は交わってはならない。海の者をこれ以上陸に行かせてはならない。海神の意志に従い、ただ務めを果たせ。
それが今の自分にできる唯一のこと。
「・・・これで、いいんだよな」
海を出ようとする民をまた一人拒んで、ユーリは呟いた。
それは誰に聞かれることもなく塩水に溶けて消える。
見上げた海面の先に、空が見える。あそこまで上がれば、陸も見えるのだろう。
「・・・わかってますよ」
社の青い炎が、咎めるように揺らめいた。
その刺すような肌で感じて、肩を竦める。
壁はないのに、道もないのだ。海の民が陸に上がるのが容易い。けれどユーリには、どうしてもできない。
名残惜しげにもう一度海面を見やってから、ユーリは社へと戻る。
いつものように横になって、目を閉じた。
脳裏に浮かぶのは陸の神使。自分と同じく、陸の神の声を聞く青年。もう二度と会えない、永遠の恋人。
「ったく、楽しそうにしやがって」
水鏡に映る少年少女がはしゃぐ姿を眺めて、ユーリは苦く笑う。自分が陸に行くことはかなわないのに。
海の民を見守るのはユーリに課された役目だけれど、見るに堪えないこともある。
これは役目か義務か、それとも罰か。
ぱしゃり、と水面を弾くと、子どもたちの姿が歪む。
その歪みの更に奥に、焦がれてやまない青年の姿が見えた気がした。
(オレもお前も、囚われた咎人)
凪あすパロ。というかざっくりした設定だけ借りた半オリジナルというか
むしろいらん捏造も加えてるからどっちかというとパクり・・・←
全てうろこさまのせいです(笑)
光くん姉弟が海を出るときのいざこざというかうろこ様の阻止→見逃してくれた(?)ところを見てなんとなく
うろこ様=ユーリさんな設定で書いたらヴェイグは陸の子になりました
遠い過去にユーリさん(この頃は普通に海の民)とヴェイグ(陸の民)で大恋愛した結果なにか大変なことになり、そのせいで二人とも神使として陸と海に縛り付けられている・・・みたいなお話(いろいろ捏造にもほどがある)
ヴェイグ最後まで名前出せなかったねごめんね!
131120