Eisblumelein:


「ヴェイグ」
 入浴を終えて出てきたばかりのヴェイグは、突然横から声をかけられて視線を向けた。
 数メートル先に、ガイが立っている。なにか用事でもあっただろうかと思いながらわずかに首をかしげると、解かれた髪が肩から重みで落ちてきた。
 水に濡れた髪はなかなか重量がある。ある程度水分は取ってきたが、やはり重いな、と。
「駄目だろうそのままにしていたら。風邪をひくぞ」
 ほら、こっちこい。
 つかつかと近づいてきたガイがそう言って、有無を言わせず腕を引いた。いつもより少々強引な動作に再び首を傾げつつ、されるがままに歩き出す。
 拭ったはずの水滴がぽたりと落ちた。
 すれ違う仲間たちが不思議そうな顔でこっちを見てくる。けれどガイは気にした様子もなく。
 一室に入るとヴェイグをベッドに座らせて、自分も横に腰掛ける。
「ガイ?」
「前向いて」
 名を呼ぶことで用件を尋ねても、応えられることはなく。
 言われた通りにすれば突然上から何かが降ってきて首を竦める。横からは小さな笑い声が聞こえた。
 どうやら降ってきたのは乾いたタオルで、ふわりと上から押さえる指が動き出して、どうやら髪を拭いてくれているのだと気付く。
 強くもなく、弱くもなく、少しずつ。
「悪かったな、いきなり連れ込んで」
 どうしても気になって、と苦笑するガイの声に首を振ろうとして、邪魔になってはいけないと思い留まる。驚いたとだけ返すと、だよなぁ、とまた笑った。
 わしゃわしゃと頭をいじられながら、ガイはルークを思い出しているのだろうかとふと思い至る。
 長かったルークの髪は、今ではずいぶん短くなってしまっている。ヴェイグの髪を見て、なんとなくそれを思い出したのかもしれない。
 と同時に、ただ世話焼きなだけかもしれないとも思う。一歩引いたところで様子を見つつ、必要なところでフォローを入れてくるガイの振る舞いを考えればありえないことでもない。
 でももしルークを思い出しているなら、・・・
「・・・ヴェイグ?」
 言われた通りしっかりと前を向いていたはずの頭がゆらりと傾いて、同じく傾いてきた身体を支える。
 声をかけても反応は薄い。被せたままのタオルを取ると、予想に違わず眠りに落ちようとしている瞳が見えた。
 ガイは乾かした髪をくしゃりと撫でて、ヴェイグをベッドに寝かせる。
  自らはそっとベッドから立ち上がり、部屋を出て行った。

誰かの代わりではないのだけれど

(・・・さて、ユーリでも呼ぶとするか)

  

いい夫婦の日を通り越していい兄さんの日を書こうと思った、けど結局間に合わなかったの図←
その日のうちに書こうとするから失敗するんだってことをそろそろ学んだほうがいいですね
お兄さんって誰だろうと思った時にヒスイとかユリウスとか思い出したんだけど、その先が思いつきませんでした
で、ユナイティアでガイ様がずっとヴェイグ支えてくれてたの思い出してなんとなくガイ様を抜擢。世界線的にはマイソロ3でルークが髪切ったあと…髪切ったよね…?←
別にガイはヴェイグをルークの代わりにしてるわけではなくて、ただ性分で気になっただけ、という気持ち
なんだかわかんないけど髪の毛いじられてると眠くなってくるよねって話です(適当)
しかしいつも消しきれないユーリさんの気配wわたしユリヴェイ好きすぎかw
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