Eisblumelein:


 冬のある日。
 村の人からの頼まれごとを一通り片付けて、ヴェイグは村の奥にある家を目指す。
 両手にはなぜかポプラおばさんお手製のピーチパイと、雑貨屋さんからもらった紅茶と、近くを走り回っていた村の子供たちからの花冠と、それから、それから。
 とにかくずいぶん貰い物をしてしまったな、なんて思いながら、ヴェイグは首を傾げる。
 親切な村の人たちはたびたび自家製のジャムだとか野菜だとかをおすそ分けしてくれるのだが、一度にこんなになんて珍しい。
 好物をもらえるのは嬉しいから、ありがたく頂戴したのだけれど。いつもありがとうね、なんて言葉までかけられると、少々くすぐったい。
「・・・ただいま」
「おかえり」
 ドアを開いて、ダイニングの椅子腰掛ける姿を認めて口を開く。音とともに振り向いたユーリは、おう、と柔らかに返した。
 絶対に挨拶なんてしないなんて思っていたのは何ヶ月も前のことで、あの頃はこんな風になるとは思わなかった。
 考えているうちに、彼はヴェイグの手の中にある品々を見やって小さく笑みをもらし、立ち上がる。
「ずいぶんもらってきたな」
 零れ落ちそうなものをヴェイグの腕の中から救出しながら、ユーリは楽しそうに笑う。
 今日はポプラおばさんのピーチパイでティータイムか。
 楽しみだ、と続けるユーリを見つめる。ユーリの様子はいつも通りで、こんなにたくさんのものを貰ったことに対して驚いたり不思議そうにしてはいない。
「・・・今日は、なにかあったのか?」
 結局なんでかわからずに、素直に聞いてしまうことにした。
 ヴェイグの問いに、ユーリは今度は目を見開いて驚きを見せる。聞かれるとは思わなかったな、言わんばかりの顔で、小さく溜息。
 テーブルに受け取ったものを乗せて、最後までヴェイグに持たせていたピーチパイまで置いてから、花冠を取り上げて。ひょい、とヴェイグの頭の上に乗せた。
 目を瞬かせたヴェイグの空いている手を取って、
「今日はお前が生まれた日だろ」
 再び目を瞬かせるヴェイグの額に自分のそれをこつりと当てて、ユーリはヴェイグを見つめる。
「誕生日おめでとう」
 ようやく気づいた、という顔をしているヴェイグに笑って、ユーリはその鼻先にキスを落とした。

年に一度の特別な日

(さて、ピーチパイ食うか)
(・・・ユーリ)
(ん?)
(ありがとう)

  

ふわっと短いけどツイブレの設定で誕生日。いつのまにか絆されてた系ユリヴェイ
ヴェイグは可愛がられてそう(勝手な設定)だから基本的にいろいろおすそ分けとかもらってそうだけどいつもよりいっぱいってことで
いっぱいもらいもの抱えてどうやってドア開けたとか考えちゃいけないw
ヴェイグが足で開けるとは考えにくいし、まさか全開ってことはないだろうし・・・ってことで生温くスルーしてあげてください


書いてなかったと思ったら書いてた誕生日話。1日に書いてたらしくて過去のわたしGJ←
ちなみにあとがきは今書きましたw
151217