一時間目のヴェイグは、必死で眠気と戦っているようだった。
ぱちぱちと瞬きをくり返し、時計を何度も確認している。
周りの生徒には気づかれていないと思う。授業中に誰かをじろじろ見たりは、ふつうしないから。
オレだって普段はそこまで気にしないが、こんなヴェイグは初めてで。
黒板とノートを行き来する視線がゆっくりで、たまに手が止まる。
「・・・つまりこの公式は・・・」
一時間目から数学なんていじめだと、進級したときに散々話したことを思い出した。
そのときヴェイグは苦笑にも似たものを浮かべていたけれど、今なら同じように思っているかもしれない。それどころじゃない、かもしれないが。
教科書の問題を解くように指示が出て、教室内の空気が和らぐ。
前後とか隣同士でちょっとした相談も許されているから、ある程度眠気も遠のくのだ。
ヴェイグも例外ではないようで、忙しない瞬きがなくなった。
よかった、なんて思いながら、
「問3、ラント」
指名されたオレは、真っ白なノートを持って前に出る羽目になった。
(数学、得意でよかった・・・)
アスベルは理数強い気がする。
よく考えたら授業中会話できないから常に独白で短文にも程がありますね(笑)
先生は思いつかないしキャラ立たないのでモブ。
110618