Eisblumelein:


 書くより読む、をモットーにしている先生は、生徒を当てるのが大好きだった。
 同じセンテンスを全員で読み、最低でも一列分を指名、最後にもう一度繰り返して。
 そんなわけで、参加型授業では居眠り率は低い。嫌でも声を出していれば目も覚めるものだ。
 だからといって全く眠くない、なんてことはないのだが。
 ヴェイグを見ると、時折先生を窺いながら外を見ていた。体育の授業をしているから、案外言い暇つぶしになるのかもしれない。
 残念ながらオレの席からじゃ青い空しか見えないのだけど。
「クロウ!ティトレイ・クロウ!」
 友人の名前に振り返る。ヴェイグも窓から視線を外した。
 一番後ろの真ん中で、緑の頭が惰眠を貪っている。隣の席のセネルが溜息をついているのが見えた。おそらく起こそうとはしたものの、なんだろう。
 前から順番に当たるってわかってるのに、なんで寝るんだろうな。
 結構な声で名を呼ばれても全く起きる様子のないティトレイを見ていると、反対側からも同じような溜息。
 視線を戻して、呆れ顔のヴェイグと苦笑を交わした。

3時間目の英語

(いくら眠くても、ヴェイグだったらこうはならないな)

  

ティトレイは図太い。しかし寝不足の人を放って居眠り書くとか、ね!←
110618