ヴェイグのカバンを持って、オレたちは社会科の準備室に向かった。
結局帰ってこなかったヴェイグの行方を、先生なら知っていると思ったから。
「どうした?」
失礼します、と言ってから入ると、先生はのんきに珈琲なんてすすっていた。部屋を見回してみても、ヴェイグの姿はない。
ヴェイグが教室に戻っていない旨を伝えると、先生はああ、と苦い顔を見せた。珍しいな、先生がこんな顔するなんて。
「あいつなら保健室だ」
「え?」
保健室?なんで?
資料を運んで戻ってくるだけのはずが、なんで保健室なんだ?
ティトレイとセネルが次いで尋ねる。どうでもいいが、一応先生には敬語を使うべきなんじゃないか・・・?
「倒れたから運んだんだよ」
全く無茶ばっかしやがって、なんてぼやいている先生はものすごく不機嫌そうな顔をしていた。
つまり寝不足は、身体が休息を求めていたから。
もっと早く気づくべきだった!ヴェイグがわけもなく夜更かしとか、そんなことするはずがなかったのに!
挨拶もそこそこにオレたちは教室を飛び出す。向かう先はもちろん保健室だ。
途中ですれ違った風紀の先生に廊下は走るなとすごい声で注意されたけれど、そんなことは気にならなかった。
(・・・あれ、先生とヴェイグって、知り合いなのか・・・?)
ちょっと蛇足っぽい気もしないでもない
不機嫌なのにのんきに珈琲をすすれるユーリさんは器用w
110623