ぱちくりと大きな目を動かして、マオはヴェイグを見つめる。その頭を後ろからぽんと叩き、ユーリが溜息をついた。
とりあえず、とヴェイグをベッドに座らせて、ついでにちゃっかり隣に座ったマオに睨みにも似た視線を寄越す。ヴェイグ本人が気にしていないので口には出さない。
ユーリ自身は向かいのベッドに腰掛けた。
「・・・で、だ」
わかっていたことだがハロルドが原因であること、薬のせいであり一過性のものであること。
どんな仕組みで性転換が起こったかは興味があるならハロルド大先生に聞いてくれ。
そう続けたユーリにヴェイグは苦笑を返す。大方細かい説明は聞かなかったのだろうな、と思った。
そして、
「大本の原因はそこのガキだそうだぜ」
「ユーリ！言わないって言ったのに！」
つい、とユーリが指を指した先にマオの姿。
焦ったように返してくるマオに、ヴェイグにはわからないように笑って見せた。
ちょっとした意趣返しだ。言わないでとは言われたが、言わないとは言っていない。
ずるい大人を遺憾なく発揮しているユーリである。
ヴェイグはしばらく無言で考え込んだ後、首を傾げた。
「・・・なぜ、そんなことを頼んだんだ？」
どうやら怒る気はないらしいと踏んだマオが、いったんベッドを降りてからぴょんと再び飛び乗る。
華奢になったヴェイグをじいっと見つめて、笑顔。
・・・どうした？
ううん、すっごくかわいいなと思って。
「顔は変わっていないと思うが」
「あー、ま、大体はな」
がばっと抱きついてくるマオを今度は直前で受け止めながら、ヴェイグは返す。同意を求めるように見つめられたユーリが頭をかいた。
確かに変わってはいないんだが。
性転換して線が丸みを帯びた分、全体的に柔らかい印象になっている。
元々整っていても生来の（かどうかは謎だが）無表情も相まってどこか冷たい美人だったのが、今ではマオの言の通りかわいいといってもおかしくない。
と、本人を目の前にして言えるかといわれれば、当然答えは否。
「とりあえず、マオ、お前はもう帰れ」
「ええー？なんで？」
話をそらす方向で見解を定めたユーリは、相変わらずヴェイグにへばりつこうとしているマオに声をかける。
不満そうにユーリへ向いたところで、子供よりは強い力でヴェイグがマオを引きはがした。
ばたばたと暴れるマオを床に下ろして、ヴェイグがユーリの肩を持つ。
「ユージーンが心配するだろう？」
「・・・うー・・・」
親代わりの名前を出されて、マオは返す言葉をなくす。
確かになにも言わないで出てきてしまった。クエストの登録もしていない。だから誰に聞いても居場所は分からない。
強面だけれどその実心配性な彼は、きっと船中の人間に聞いて回るだろう。それは恥ずかしいし、やっぱり心配はかけたくない。
ハロルド辺りが言っておいて・・・くれてはないはずだ、おそらく。いや絶対。
となるとやっぱり帰るしかない。
わかった、と頷いたマオの頭を撫でて、ヴェイグが微笑する。
はたとそれに見惚れたマオを小突いて、ユーリが立ち上がった。
「送ってやろうか？」
「一人で帰れるヨ！」
子供扱いに怒ったマオに笑う。
じゃあね、ヴェイグ。気をつけてね。・・・？ああ。
不機嫌でも挨拶だけは忘れないマオに返してから、なにに気をつけるのか考えているヴェイグにユーリは苦笑した。
ついでにどういう意味だとマオに視線を送る。マオはべ、と舌を出して外の階段をかけ降りていった。
「途中まで送ってくる」
「ああ、頼む」
顎に指を当てて考えているヴェイグに言うと、顔を上げたヴェイグが頷いた。
部屋を出ると、宿の入り口にマオが立っているのが見えた。大して急ごうとも思わずに階段を降りる。
腰に両手を当てた状態で待っていたマオがずい、と顔を寄せる。（小さいから大した迫力はないが）
「ヴェイグに手を出したら許さないからネ！」
「・・・おい」
言うだけ言って駆けていってしまったマオを追いかけることはせずに、それだけ呟く。
出すわけねえだろ、と咄嗟に返せないところが痛いところだった。
（・・・ったく、あのガキ）
（？ おかえり、ユーリ）
（あ、おう。ただいま）
マオと一緒にいる間にユーリさんになにやら心情の変化があったっぽいですねｗ
書くかと言われたらたぶん書かないけれども←
わたしはヴェイグを本当に美しい人だと思っているんだなぁと今回すごく理解したｗ
反論は受け付けないもの！←
最終的にどうしてマオがヴェイグを女の子にしたのかうやむやですが、後々ってことでいいかな
ところでフレンのキャラはさっぱりわかっていません←
TOV未プレイだし映画見てないしもちろん二次創作も読んでないよ！ｗｗｗ
見た目と騎士って職業と宮野くんってことでああなりました。
大した進展もなしに元に戻りそうな予感。なんで書いたし←
ところで町のイメージはGのウィンドルだったりします
120110