Eisblumelein:


「あらユーリ、まだいたの?」
 見知らぬ男の腕に寄り添った彼女が、艶やかな笑みを浮かべた。
 彼女の邸に転がり込み、仮初めの恋人の地位を得てどのくらい経っただろうか。それが今終わるのだということを、この光景が物語っていた。
 きっとあれがバレたのだろうと頭の隅で考える。元から彼女が飽きるまでの関係だ。心に傷はつかない。ただこの後のことを考えると少々憂鬱だった。
 じゃあね、とひらひら手を振って消えた二人の後で、ユーリは小さく溜息をついた。
「よう、青年。あら、やっぱりバレちゃった?」
 どこからかひょっこり現れたレイヴンの言葉に、ユーリは肩を竦めた。
 出かけた先でたまたまひっかけたのが田舎のお嬢様だったのが運の尽き。
 本気にしたお嬢様を一芝居打ってなんとか引き剥がすのには成功したものの、ひっかけていたことがバレてしまったのだ。
「ま、ジゴロなんてそんなもんだろ」
「青年もしばらく宿なしねぇ」
 わざわざ言うなよ、とユーリが呟く。に、と笑って、レイヴンはひらりと手を挙げた。
 おっさんは帰るわよ、というなんとも友人甲斐のない言葉には返答することなく、ユーリはレイヴンに背を向ける。
 友人なら一晩二晩泊めてくれてもいいようなものだが、泊めてほしいとも思わないのが正直なところで。とりあえず宿探しから始めるか、とユーリは歩きだした。
 どうせ最初からなにもないのだ。今更気を落としたりしない。
 なにもないところから始めた。仮初めの生活を得て、そしてなくした。元に戻るだけだ。
 それにある程度のものはもらっているから、生活の余裕はある。せいぜい一週間と言ったところだけれど。
 その間にまたなにか、見つければいいだけの話。
「最初からやりなおし、だな」
 ユーリは一人ごちて、こちらの気も知らずに晴れ渡った夜空を見上げた。

そうしてくりかえす

(そうやって生きてきたのだから、もう傷つく心もなかった)

  

・・・というわけで、新しく長編を
プロット自体はできあがってるのでそんなにわりとのんびりとやろうかなと
シリアスぶって始めましたが実際そんなにシリアスでもないですw
ユーリさんはジゴロとして生きてきた人です。設定はそれだけ
改めて細かい設定するまでもないのかなと思って←
基本的には本物と同じように進んで行く予定です
違うのはヒロインが女の子じゃないことだけだね!www
130302