Eisblumelein:


「一晩泊めてもらえないか」
「あ?」
 ホテルの入り口で、部下が浮浪者に声をかけられていた。
 男は浮浪者を弊睨し、一蹴する。どう見ても金はなさそうだし、そもそも部外者を入れる状況ではない。
 大体彼にそんな判断権はない。
「・・・そうか。それじゃあ、酒でも一杯」
 浮浪者は少々残念そうに呟くと、一転して明るく言った。懐からウイスキーの入ったボトルを取り出して振ってみせる。
 どうだ?という声に、男はちらりと入り口と二回へ続く階段を一瞥する。どちらにも動きがないことを確認してから、いそいそとボトルに手を伸ばした。
 その手がボトルに届くか届かないかというところで、男が声もなくくずおれる。男を一撃で沈めた浮浪者がふう、と一息ついて、男の懐を探った。
 見つけたのは小さな鍵。その鍵を持って、浮浪者は二階へ上がる。
 まっすぐに向かったのは、外に鍵が付けられている部屋。
 鍵を開けてノブを回して、がしゃん、という音に目を細める。どうやら中からも鍵がかけられているらしいことを悟って、コン、とドアを叩いた。
「開けてくれ」
 中で人が動く気配がし、内鍵が開けられる音がする。ドアが音もなく、わずかに開いた。
 黒髪の青年が顔を覗かせる。明らかに警戒されているのを知りつつも、素早く隙間に手を入れてドアを開けた。
 奥に白銀を持つ青年がいる。彼の顔をちらと見て、それから気配を尖らせた青年に向かって言った。
「早く出るんだ」

謎の男

(その正体は、もうすぐわかる)

  

切りどころが相変わらず行方不明です
長さ的にもう少し先に行きたかったんですが、先に行くと長すぎてよくわからなくなるので短い方で
というわけで恐ろしい短さに・・・(笑)
正体とか引っ張らなくてもわかる気がするw
131208