花氷*


「ここが、エンゲーブ・・・」

呟いたヴェイグの視界いっぱいに、広々とした畑が広がっていた。

隣に立ったジェイドが眼鏡を押し上げて口を開く。

「マルクト帝国の食糧事情を担っている村です。キムラスカにもいくらか輸出していたはずです」

人口は2万人程度ですね、と。

さらりと基本事項を述べたジェイドに頷いて、ヴェイグは村を眺めた。

スールズの畑とはまったく違う。寒い地域だったし、山間だったからそんなに広い土地はなかった。

売るものではなかったからたくさんは必要なかったし、村人が食べていけるだけの量があればよかった。

だからこんなに広い畑を見たのは初めてだった。

スールズとは違う風景。けれどどこか、懐かしい風景。

「ヴェイグ?」

「・・・なんでもない。圧倒されていただけだ」

はっとして答えると、そうか?とルークが首を傾げた。

それでもまあいいやと違和感を放り、ヴェイグの手を取る。

「案内するよ!」

ぐい、と引かれるがままに、ヴェイグはルークの後を追う。

その背を見送って、ジェイドが溜息をついて。

「全く、無理をしますねえ」

寂しいなら寂しいと素直に言えばいいのに。

やれやれ、と肩を竦めて、ジェイドは二人を追って歩き出した。

(慰めてあげるくらいはできますよ、なんて)

  

  

まさかのシリアス←
畑=エンゲーブしか思いつかなくてオールドラントに召喚しました(笑)
ワールドツアーなうです。キムラスカ回って次マルクトみたいな
他のメンバーはログアウトしてますがいます。たぶん
スールズ恋しに気づいたのは大佐だけ。つまり安定のジェヴェイ・・・!←
131104