花氷*


相変わらず黒衣の番人の元を訪れているリチャードは、どこからか用意されたテーブルセットでティータイムとしゃれ込んでいた。

毎日と言うほどではないが、そうそう間を開けずに訪れているものだから、ヴェイグも馴染んできてしまって。

好きだと聞いて、とピーチパイを持参して以来、訪問に寛容になっていた。

流石上流階級(というか王族なのだが)というべきか、リチャードは会話が達者だ。

一方的に話すわけでもなく、話が突然途切れることもなく。相づちくらいしか打たなくとも、新しい話題・・・それも興味を惹かれるようなものを選んでくる。

そもそも来る人数が絶対的に少ないこの場所において、リチャードの存在はそれなりに暇をつぶせるものになっていた。

「ああ、そういえばこの前・・・っ!?」

突然強い風が吹いて、会話が止まる。

ヴェイグ自身は慣れているからそんなに気にならないのだが、ここは聳え立つ塔のてっぺんで。

そこで吹く風はかなり強いものである。

ウィンドル出身のリチャードにとっては、穏やかでない風は余計に珍しいのだろう。

強い風にブロンドの髪が翻り、太陽の光にきらきらと輝いた。ヴェイグはその光景に目を奪われる。

「・・・すごい風だな。ヴェイグ?」

大丈夫かい?と尋ねられてはっと我に返る。

心配してくれているリチャードに首を振ることで答え、

「・・・きれいだ、と思って」

「・・・・」
今度はリチャードが、ぱちぱちと目を瞬かせた。

黄金

(君の方がきれいだ、なんて)

  

  

安定の前振りの長さw
書いててどこに行くのかわからなかったなんて言わない
最初はクレアとかの話を出そうと思ったんだけど、それ始めるとシリアスに傾いた挙げ句リチャードがかわいそうなことになりそうだったのでやめました
結局無自覚バカップルみたいに・・・(笑)
131028